スノードロップ
誰かに言いたくて
言いたくて…


きっとずっと由佳莉が
抱えていた心の傷…―



いつも笑顔で
こんなことがあった
なんてわからないくらい


元気に振る舞って
いたのも


きっと―……



思い出すのを
恐れていたから…



忘れられる訳ないよ―…


忘れるように…


考えないように…


そうするしか
出来なかったんだよね…



「知だけこのこと
知ってるのぉ」


「そっか…。私に…
話してくれて
ありがとうね、由佳莉」


「希望も知も私の大切な
友達だからぁー。
知ってて欲しいって
思ったのぉ」


「うん…。ありがとう…」



思わず私の頬に
流れる涙―…


こんなにも―……


こんなにも私のこと
大切に思って
くれてるのに…


私は……

何も言えないなんて…




自分の存在が…


この時初めて
嫌だと思った―…



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