スノードロップ
何だか不思議…


池上さんと私が一緒に
いるなんてー…



話しは勿論、会うことも
ほとんどない私達が…


今は同じ場所に向かって
歩いている。



周の元カノー…


そういうイメージでしか
ない池上さんだったけど


今は―――…
今この瞬間は
ただ一人の女の子として
見れる気がした。



屋上に着くと池上さんは
両手を広げ
大きく息を吸っている。



「はぁー暑いけど気持ち
いいよねっ!」


「うん……。」


池上さんの見たことの
ない表情ばかりを見て
戸惑ってしまう。



「知ってると思うけど
今朝、周と一緒だったの。
私が呼び出したん
だけどね」


「あっうん、尚人から
聞いたよ」


「そっかー…。」



そう言うと池上さんは
急に遠くを見つめながら
黙り込んだ。



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