スノードロップ
「うん。誰にも振り
向かない周を
振り向かせてって…」


「………。」


「私も初めはそんなの
嫌だって言ったけど
いつの間にかクラス中に
話が回ってて…」


「言わずにいられなく
なった…ってこと?」


「うん…。もちろん、告白が
どうなるかなんて
わかんなかったし…。
だけど皆が私ならいける
って言うから
告白する前に私から周に
近づいたの」


「ひっひどいよ…
そんなの…。」


「…うん。わかってる…」


暗い表情を浮かべて
言葉を詰まらせる
池上さん。



「でも、何ヵ月か周と
過ごしていく内に本当に
好きになったの…」


「――…池上さん…。」


池上さんの表情を見ると
うっすら涙を浮かべて
いるように見えた。



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