ストーカーパニック
第一章 始まり
「陸帰ろっ!」
教室中に甲高い声が響き渡る。
声をかけたのは、秋嶺学園に通う女子高生、平沢杏(ひらさわあんず)だ。
「授業終わって疲れてるのに元気なやつだな。」
そう言って呟くのは、杏と同じクラスメートであり彼氏でもある、富岡陸(とみおかりく)である。
「今日はどこ行く?」
「どこでもいいよ。お前が好きなとこで」
「じゃあカラオケ行こっ!」
「またー?もう飽きたよ。」
杏は大のカラオケ好きで、週に3回は陸とカラオケに行っている。
陸はたまには違うところに行きたいのだが、つぶらな瞳を輝かせ、まじまじとみてくる杏に、いつも陸は負けてしまう。
「いいじゃん!ほら行こっ!」
「もぉー。。。」
陸はぶつくさ文句を言いながら杏に引っ張られて学校を後にした。