あなたとわたし 魔法と呪い


志賀にお土産ってことで…近くの雑貨屋に寄って、

ちょっと小洒落た電卓や、マグカップを。

そして全員がお揃いのシャーペンとボールペンを買って、


「お受験グッズ」を贈ることにした。
















「…佐藤くん」

今日、志賀と一緒にケーキ作りに貢献した、林に声をかけられた。






「…何?」













「あのさ…これ」

…シフォンケーキだった。


「多分…恵ちゃん。
私にって、最後一切れ残るようにしてくれてたの。

試食でほんとに少し食べただけで、あとは全部使ったから。


でも、佐藤くんに食べてあげて欲しいの。

恵ちゃんすごく頑張ってたから。


きっと佐藤くんのこと考えながら作ったんだよ。ちゃんと見てあげて。」

そう言って渡されたシフォンケーキは……
フワフワで。ほんのり甘くて。



うまかった。




…試食でも。ちょっとでもよかった。
一緒に食いたかった。




ってか『何一人でやってんだ』って怒ってでも、参加すればよかった。




メニューも買い出しも経費の計算も一緒にしたかった。







そしたら打ち上げも一緒にいけて、
『お疲れ』って
ジュースで乾杯して

帰りに買ったシャーペンとボールペン握りながら『今度の模試は負けないから』とかって言えたのに…














全部後の祭り……







< 132 / 454 >

この作品をシェア

pagetop