あなたとわたし 魔法と呪い
志賀にお土産ってことで…近くの雑貨屋に寄って、
ちょっと小洒落た電卓や、マグカップを。
そして全員がお揃いのシャーペンとボールペンを買って、
「お受験グッズ」を贈ることにした。
「…佐藤くん」
今日、志賀と一緒にケーキ作りに貢献した、林に声をかけられた。
「…何?」
「あのさ…これ」
…シフォンケーキだった。
「多分…恵ちゃん。
私にって、最後一切れ残るようにしてくれてたの。
試食でほんとに少し食べただけで、あとは全部使ったから。
でも、佐藤くんに食べてあげて欲しいの。
恵ちゃんすごく頑張ってたから。
きっと佐藤くんのこと考えながら作ったんだよ。ちゃんと見てあげて。」
そう言って渡されたシフォンケーキは……
フワフワで。ほんのり甘くて。
うまかった。
…試食でも。ちょっとでもよかった。
一緒に食いたかった。
ってか『何一人でやってんだ』って怒ってでも、参加すればよかった。
メニューも買い出しも経費の計算も一緒にしたかった。
そしたら打ち上げも一緒にいけて、
『お疲れ』って
ジュースで乾杯して
帰りに買ったシャーペンとボールペン握りながら『今度の模試は負けないから』とかって言えたのに…
全部後の祭り……