あなたとわたし 魔法と呪い
「そういやー最近は付きまとわれてないの?
ストーカー女に。」
試合の帰り、勇作に聞かれた。
勇作って…悪い奴じゃないんだ。
学校でだって、クラブだって、口下手な俺のことを、ずっとフォローしてくれてた。
話しもあうし。
趣味もあう。
ただ一つ…
女を除いて。
勇作の女癖の悪さは、
なんか…嫌だった。
あいつはいっつも誰か横にはべらしてたし…
かわいい子やきれいな子なら誰でもいいんだ。
簡単に付き合うし…簡単に別れる。
簡単に「付き合おう」って言うくせに…
何股も平気でする。
俺にはそういうの…分からない。
恵子が勇作から可愛くないと思われてるのも分かってたけど、
顔で選ぶほど…余裕なんてなかった。
あいつは俺の中にいつの間にかいたし。
どこを好きになったかなんて、説明できない。
ただ…本当の俺は…ヘタレで
お子ちゃまで
付き合いだしてもうすぐ2ヶ月になるのに、今だに
誰にも「付き合ってる」って言えなかった。