あなたとわたし 魔法と呪い
手も額も背中も汗でびっしょりだ。
さっきから心臓もバクバクいってる。
…向こうから歩いてきたの
恵子だ…
どうしよう。1ヶ月ぶりくらいだ。
…痩せた?
かなり痩せてる。
でも…恵子だ。
もう…彼氏出来た?
その手も、腕も、唇も俺のものだった。
全部…全部。
泣いてでも、叫んでも、「やだ」と言えばよかった。
隣に歩いてたあいつは…
いや…歩いてなんかなかったのかも。
同じ道を歩いてるつもりの俺は…いつの間にかフェードアウトして、
後ろでずっと声をかけてくれてた恵子は…いつの間に先に進んでしまった。
どっちにしろ、今は随分………遠い。