片思いlovers
1 恋心

初恋

                   
桜がひらひらと散っている。

放課後は結衣と教室にいるのが日課だ。

「ねぇー千花は好きな人できたことないの??」

「えーないよぉ」

「つまんないのー。片思い、楽しいのに」


恋愛経験豊富な結衣は語ってくれるが、実際あんまり興味がない。
いままで恋したこともないし、付き合ったこともないのだ。


グラウンドでは、サッカー部と陸上部が部活の真っ最中だ。
中学時代は陸上部だった結衣は懐かしそうに見ている。

「あたしもケガしてなければなあ」
ちょっと悔しそうにいう結衣は中学校の大会ではたくさん優勝していた。
期待されていた最中、膝をケガし、続けられなくなったのだ。


思い出話に花を咲かせていると、結衣の携帯が鳴った。

「あーもしもし?・・・うん。いくからっ」

電話を切ると、申し訳なさそうにこっちをむいた。

「ごめん。彼氏が一緒にかえろって・・・」

そういうのをさえぎり首を振った。
「きにしないで。仲良くしなきゃね」

良くあることだ。







< 1 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop