片思いlovers
ごめん、と謝りながら結衣はそそくさと教室をあとにした。

やっぱもてるひとはちがうなあ・・・
私なんかみんな呼び捨てでよぶし、友達だもんなぁ

結衣は綺麗だ。同い年とは思えないほど大人っぽい。
それを気にしてはいるけど、むしろうらやましいと思う。


もう少しゆっくりしていこう。
そう思いながら机にうつぶせた。


・・・

・・・・・・



「・・・ぎっ!葛城っ!」

呼ばれる声にビックリして起きあがると、そこには田原祐がいた。

「えっ・・・田原・・・??」

どうしているんだろう?
訳の分からないまま時計を見ると、もう下校時間だった。
「えっええええ????」

混乱している私をみてか、田原は吹き出した。

「どんだけあわててんだよ。てかなんでいるの?」

だって気づいたら寝てましたなんて恥ずかしくていえないよ・・・


「え、あ、っそのー・・・」

・・・日本語にもなっていない言葉を発している自分・・・
情けないよー・・・


「ねえ」
呼ばれて振り向くとすぐ近くに田原がいた。


「帰らないの?もう遅いと思うんだけど・・・」

そうだ。帰らないとおこられる。

「かえる。・・・じゃあね?」

そう言うと私は教室をあとにしようとした。

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