片思いlovers
ガバッとベットから起きあがり、ケータイを見るとかかってきたことのない番号だった。

だれだろ??

その時は軽い気持ちで電話にでた。
「はい」

『・・・あ、葛城?』

田原だった。

その声に驚いて、つい立ち上がってしまう。

「ちょ、まって・・・え?なんで?」

『椎名から聞いた。来てくれるんだって?』

あぁ、そのことか・・・
少し安心しながら再度腰を下ろす。

一通り教えてもらったが、メモをしていなかったら全部わすれていただろう。
それくらいふわふわした気分になっていた。

結衣からじゃなくて、田原から教えてもらえたのは良かったし、結衣もわざわざ田原に言ってくれたんだろうから、それにも感謝だ。

まだ、話したい。
そう思った。

そこで思い切って聞いてみた。

「ねえ、なんで誘ってくれたの?」
我ながら気の利かない質問だと思う。
だけど、少しためらいながらもはっきりと答えてくれた。

「葛城に、見て欲しかったから。俺、でれるかはわかんねーけど。」

そーだったんだ。

ほっとしたら、自然と涙がにじんでいた。
何となく電話越しに感づいたのか「どーした?」といつもの調子できいてくる。

「何でもないよ」

見えてないことは分かってても、笑顔で答えてみた。

< 23 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop