片思いlovers
時間にしてみれば、そんなにたっていないと思う。
というか、たぶん何秒かのことだろう。

だけどその時はものすごく時間が長く感じられた。


「いや、やっぱ変える。・・・じゃあちょっときいてて」


??


「俺さぁ、すごい口べたなんだよね。上手く言えないって言うか・・・」

一言一言紡ぎ出すように、言葉を選んでゆっくりと。

「恋ってしたことある?俺なんて、高校はいって初めてしたんだ。・・・ある子にね。ホントにずっと考えてるのってきもいよな。でも・・・」

そこで一旦切ってから、すごく真剣な顔つきになって話しだした。

「なんていうか、その子のことを考えるたびに好きになるし、あぁ俺は本当にすきなんだなあっておもえるんだよな。・・・そう思ったことある?」


ずっと話に聞き入っていた。
質問になんて答えればいいんだろう?そう思ったけど、勝手に口が動いていた。

「・・・あるよ」

田原は少し前を歩いていたが、足を止めて振り向いた。

偶然にもそこは、前帰りに話していた道だった。


「わ、私も好きだなあって思うよ、考えると」

そう言うと恥ずかしくなってうつむいてしまった。


「そっかあ・・・へんじゃないか!よかった!」

また笑っているのが見なくても分かった。

「・・・一番大事なとこ。聞いて?」

振り向いていただけだったのを、改めてむき直してこっちを向いた。


「あのさ、」


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