片思いlovers
「・・・おぅ」
ひょい、と手をあげていうけどその声はいつもと違う。


「っ・・・あのさっ」

もう心臓が止まりそう。


はなすことは考えていたつもりだったけど、言葉が浮かんでこない。

なんていってるかなんて分かってないも同然だけど、気持ちは変えられないから大丈夫だろう。

田原はさっきから何も言わず、こっちを見ている。

視線をできるだけ合わせないようにしていた。
もしあったら言えなくなりそうだから。


「田原が私のこと好きだなんて、信じられないけど、嬉しいからっ・・・」

そこで一旦止めた。
なにいってんのか全く分からないよ・・・

「だからなんて言ったら良いかわかんなかったんだけど」


ここまでいってもいちばん言わなきゃいけないことを言ってない。
でも焦ってしまって上手く言えない。


こんな情けない自分が恥ずかしく思えてきてしょうがない。
「ああ、もうっ・・・だからね」




「私が好きなのは、田原だよっ」






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