片思いlovers
「あたしのことどう思う?」

・・・そんなこと聞かれましても・・・
だけどそんなこと言えるわけもなくて。

「・・・え・・・いや、そのー」
あいまいな返事にもなっていないような答えになっていた。
そんな態度に腹が立ったのか、急に立ち上がって、言った。

「だからー・・・どう思うっていってんの」
でもどういう意味で言ってるのかもわかんないしなぁ
それでも黙っていると、あきらめたようにまた座り直した。

「あんたって、祐君と付き合ってるんでしょ?」
頷くと、フッと鼻で笑った。
はぁ・・・?何この人は・・・てかこんな人なのか・・・

「単刀直入に言う。・・・あたしに譲ってくれない?」

全力で首を振った。
でもこの後なんて言えば良いんだろう?そんなに格好良く言えないし。

「そりゃ素直にはい、なんて言えないか。まぁあたしのものにするから。」
それだけ言うと、勝手に去っていった。

予鈴がなって、振り向くとまだ綾野先輩は立っていた。

「ごめんな」
急に謝ってきた。え?なんでだ?
・・・でも綾野先輩はやっぱりというか予想どうり、しゃべり方まで格好いい。

それこそ返答に困っていると、
「昔からああなんだ・・・まぁ私も、そこまで悪いようにはしないように言っておくから・・・」

そういって、綾野先輩も行ってしまった。
・・・結局綾野先輩は味方をしてくれているって事でいいのかな?

勝手に決めつけて教室に戻ることにした。

だけど、よく考えてみれば、私か高嶋先輩どっちが綺麗か、可愛いかなんていったら先輩の方に決まっている。
わざわざ私にまで宣戦布告?してくるって事は相当自信があるか、自分もアピールしますって言ってるようなものだし・・・
そう考えると悲しくなってきた。それと同時に自信までなくなっていった。

教室についても一瞬はいるのをためらってしまうほど落ち込んでいた。

これからどうすればいいのかな。
これはちゃんと田原にいったほうがいいのかな。でも知らないなら余計に迷惑をかけてしまうことにもなる・・・
ホントに・・・どうしよう。

田原の前で泣くわけにはいかない。
それだけは一番に思ったから目尻に浮かんだ涙をぬぐって、できるだけ普通を装って教室に入っていった。
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