Real Love...?
バイトを終えた和也さんが
病室へと入ってきた。
「美玲、春ちゃん。」
「和也、お疲れ♪」
「おぅ♪」
「今日ね、翔の
お母さんが来たんだよ。」
「嘘っ!会いたかったな。」
そんな話をしていると
握っていた私の手が
微かに動いた。
「うっ…う〜ん…」
握っていた翔くんの手が
少し動いているのがわかった。
「翔くん!」
「嘘だろっ!」
「翔っ!!」
翔くんは欝すらと
目を開けると
少し微笑んで言った。
「おはよう。
美玲、和也、それと……」
「どうした翔?愛しの
春ちゃんに会えて嬉しいのか?」
和也さんの言葉に照れながら
翔くんの顔を見ると
思いがけない言葉が返ってきた。
「えっと……
和也の新しい女か?」
「んな訳ないだろ!
俺の女は美玲だよ。
翔、お前冗談きついから。」
すると美玲が
真剣な目で言った。
「翔、本当にわからないの?」
「お前らこそ冗談きついよ!」
この言葉を聞いたとき
どんなに悲しかっただろう。
この前見た夢よりも
悲しい現実が私を突き詰めた。
「春……?」
「ゴメン、私…トイレ。」
「待って、春!」
私は美玲の言葉を無視すると
急いでトイレへ走った。
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