Real Love...?
「うぅっ…。」
翔くんの微かな唸り声。
慌てて振り返ると翔くんは
頭を押さえしゃがみ込んでいた。
「翔くんっ!」
慌てて傍に駆け寄ると
私は翔くんに呼びかけた。
「翔くん大丈夫っ?」
「…前にも」
「えっ?」
「前にも…こんなこと
あったような気がして…
でも思い出そうとしたら
頭が痛くて立てなくなる……」
「無理しちゃだめだよ。」
苦しそうな翔くん。
「なぁ…春…
俺さ…誰か好きな人が…
和也に無理矢理…
キスされそうになって…
俺…さっきみたいに
和也のこと殴ったんだ。
でもその子の顔…
思い出そうとしたら頭が……」
頭に手を押さえ
途切れながら
話し続ける翔くん。
「大丈夫っ?
無理しないでっ。
今は何も考えないで。」
翔くんは少しの間
目を閉じて下を向いていた。
少し落ち着いた様子の翔くん。
「俺が思い出せない
大事なやつは…うぅっ…。」
頭を抱えながら顔を上げ
ゆっくりと目を開く翔くん。
何が起こっているのかわからず
私は翔くんの目を見ていた。
するといきなり翔くんは
私のことを抱きしめた。
「……翔くん?」
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