マナ
小さなとある朝
「好きだよ。」
言っておきたかった。
ハヤト。
いま、
あたしの手を
握ってくれてる。
あたたかい。
こんなぬくもり、
一回限り。
あたしの中には
悪魔がいる。
好きだよ。
伝えても
意味がない想い。
ハヤトの寝顔。
あたしは
まだ死にたくないよ。
ねえ ハヤト?
このままゆっくりと
眠るよ。
ハヤトが
気づかないうちに。
バイバイ、ハヤト。
最後に一つ。
「大…好き。」
聞こえなくていいよ。
答えなくていいよ。
最後に。
最初で最後の
大好き。
あーあ。
世界で
一番嫌いなもの。
神サマ。
あたしは
この世界から
消えた。