妖艶な月光と甘美なる熱い蜜

その不思議な唇が丸く弧を描いた。

美しいその形に胸が高鳴る。


自分は幻影でも見ているんだろうか。

ただの、ベンチに腰を置いて寝ている夢なのだろうか。


「ふっ…人間風情のただの劣等種か…」


いや、間違いない。

こんなリアルな夢なんて、ない。


でも、この人(?)は余計なことを呟いた。

劣等種?皆、平等なのにどうしてそんな事を…


膨れ上がる不快感と、対して一方的な情圧。

おかしくなってる。

睨むように謎の相手を見つめる。


「小娘が…俺に文句でもあるのか?」


挑むように手をくいっと動かせた。
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