出会い・白輝伝
今日も暗い内から
食料探しに出掛けた
一太は、ゴミの集配場所
・家庭のゴミ箱を捜し
回りやっと八件目で、
庭先に置いてあった
ゴミ箱から痛んだパン
を拾えたのだった。
二太に食べて来たと
言ったのは、最近
体が弱ってきた二太に
少しでも多く食べさせ
よう考えた嘘だった。
「キューン」
食べ物の匂いを嗅ぎ
付け、二太のシャツ
の胸元からテニス
ボール位の銀色の
小狐が、顔だけ出し
まだ見えぬ目を二太
に向け鳴いた。
「お腹すいたね…あい」
二太はパンを小さく
千切り小狐に与えながら、
自分も食べ始めた。
貪り食べる弟とまだ
人の姿に成れず狐の
まま二太の、胸元に
抱かれている妹を
見つめた。この先
行き場所の無い事を
考え途方に暮れる
一太だった。
一太達三兄弟は、
遥か昔より土地神と
してこの地を見守り
人々の信仰心と供え物
で生き続けた眷族だった。
きれいな水を好み森
と植物の放つ自然気
を取り込む事で 、
天変地異すら起した
一族だったが、年々
増える人口に合わせ
進む土地開発の為、
力の源であった山々・
森などの自然を削り
壊され、ほとんどの者
はこの地を見捨てさら
に山奥や他の土地
へ移り住んだ。
残った者達も住まい
を追われ、人が無意識
に放つ邪気に蝕まれ、
結局一人また一人
と姿を消していった。
食料探しに出掛けた
一太は、ゴミの集配場所
・家庭のゴミ箱を捜し
回りやっと八件目で、
庭先に置いてあった
ゴミ箱から痛んだパン
を拾えたのだった。
二太に食べて来たと
言ったのは、最近
体が弱ってきた二太に
少しでも多く食べさせ
よう考えた嘘だった。
「キューン」
食べ物の匂いを嗅ぎ
付け、二太のシャツ
の胸元からテニス
ボール位の銀色の
小狐が、顔だけ出し
まだ見えぬ目を二太
に向け鳴いた。
「お腹すいたね…あい」
二太はパンを小さく
千切り小狐に与えながら、
自分も食べ始めた。
貪り食べる弟とまだ
人の姿に成れず狐の
まま二太の、胸元に
抱かれている妹を
見つめた。この先
行き場所の無い事を
考え途方に暮れる
一太だった。
一太達三兄弟は、
遥か昔より土地神と
してこの地を見守り
人々の信仰心と供え物
で生き続けた眷族だった。
きれいな水を好み森
と植物の放つ自然気
を取り込む事で 、
天変地異すら起した
一族だったが、年々
増える人口に合わせ
進む土地開発の為、
力の源であった山々・
森などの自然を削り
壊され、ほとんどの者
はこの地を見捨てさら
に山奥や他の土地
へ移り住んだ。
残った者達も住まい
を追われ、人が無意識
に放つ邪気に蝕まれ、
結局一人また一人
と姿を消していった。