出会い・白輝伝
大きな黒い犬が、
牙をむき目前に居る
獲物の喉元を狙っていた。
しっぽが、逆立つ程
の危険を感じ一太は
後ずさりした。
その動揺を感じた
犬が、喉元を狙い
飛び掛かって来る。
咄嗟に手に持っていた
箱を投げ付け一回目
の攻撃を交わし、
逃げ去ろうと走り
始めたが、気持ちが
動転して思う様に
足を動かす事が
出来ず一太は
アスファルトの堅い
道路に前のめりに
転び裸の手足を
嫌という程擦り
剥いたが、今は
すり傷など気にして
はいられなかった。
後方から黒い犬が
牙をむき襲い
掛かってくる。
一太は道路に転がり
必死に身を交わし
逃げ回るしか
出来なかった。
「ギャン」
突然鋭い痛みが
一太の体を走る。
犬は鋭い牙と頑丈な
顎で一太の左足首を
銜えたまま食い
ちぎろうとする様に
頭を激しく振り始める。
悲鳴を上げながら
何回も道路に叩きつけ
られる一太は、人の姿
を保てず狐の姿に
変わっていた。
「にいちゃ」
薄れて行く一太の脳裏
に妹を抱いた二太の
泣き顔が、浮かび上がる。
「だめ‥まだ‥だめ」
二太達を残しては
逝けない一太は気力を
振り絞り足首を銜えて
いる犬の鼻先を右前足
の爪で引っ掻いた。
爪は犬の左目を傷付け
一太に逃げる隙を
作ってくれた。
牙をむき目前に居る
獲物の喉元を狙っていた。
しっぽが、逆立つ程
の危険を感じ一太は
後ずさりした。
その動揺を感じた
犬が、喉元を狙い
飛び掛かって来る。
咄嗟に手に持っていた
箱を投げ付け一回目
の攻撃を交わし、
逃げ去ろうと走り
始めたが、気持ちが
動転して思う様に
足を動かす事が
出来ず一太は
アスファルトの堅い
道路に前のめりに
転び裸の手足を
嫌という程擦り
剥いたが、今は
すり傷など気にして
はいられなかった。
後方から黒い犬が
牙をむき襲い
掛かってくる。
一太は道路に転がり
必死に身を交わし
逃げ回るしか
出来なかった。
「ギャン」
突然鋭い痛みが
一太の体を走る。
犬は鋭い牙と頑丈な
顎で一太の左足首を
銜えたまま食い
ちぎろうとする様に
頭を激しく振り始める。
悲鳴を上げながら
何回も道路に叩きつけ
られる一太は、人の姿
を保てず狐の姿に
変わっていた。
「にいちゃ」
薄れて行く一太の脳裏
に妹を抱いた二太の
泣き顔が、浮かび上がる。
「だめ‥まだ‥だめ」
二太達を残しては
逝けない一太は気力を
振り絞り足首を銜えて
いる犬の鼻先を右前足
の爪で引っ掻いた。
爪は犬の左目を傷付け
一太に逃げる隙を
作ってくれた。