出会い・白輝伝
洸は始めて出会う
小さくてかわいい
人型の妖魔の動き
を追っていた。

しばらく眺めていた
洸はやはり二人が
兄弟で、兄が右足に
けがをしているらしい
事が判り兄の分も
バッタを捕まえようと
頑張る幼い弟に
協力しようと、バッタ
を捕まえては結界の
中に落とした。

「いっぱいある…ねえ」

柔らかそうな髪の毛と
同じ色のシッポが
目の前で上下している。

洸が捕まえ気で押さえて
いたバッタを見つけた
子供は上機嫌で
拾い集めている。

その可愛い仕草に
洸はうっかり声を
出してしまった。

「可愛い~なあ」

瞬間子供の動きが
止まり、驚きに目を
見開いて洸を見る。

結界があるのに何で
オレを見る‥

「やばい結界に
入っちゃった」

バッタを拾い集める
子供の顔が見たくて、
洸もしゃがみ込み
見ていたのだが、
近寄り過ぎ結界の
境界を踏み越えていた。

「あのオレ洸って‥」

脅え固まる子供に
戸惑い声を掛け、手を
伸ばす瞬間子供は、
火が付いたように
泣き出し兄へ
と駆け出す。

「にいちゃ~」

見知らぬ侵入者に脅え
泣く弟を背中に庇い
兄が不自由な
足で踏ん張る。
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