出会い・白輝伝
兄・霞の声が聞こえヒュウ
と鉄球が飛んで妖魔の
顔面に当たる。

念糸で鉄球を操り妖魔を
遠ざけながら霞が叫ぶ。

「洸…楠木の力を使え」

宮継直系の嫡子のみが
受け継ぐ能力は、霊木楠
から溢れる巨大な気の力を
自らの体に纏い力にし
敵を倒し霧散させる
ことが出来た。

「楠木よ。我に力を」

瞬時に足元から白く輝く
光の帯が洸を包む。

溢れる霊気を手の平に集め
妖魔の顔めがけ弾気を打つ。

悲鳴をあげ霧散する妖魔に、
ガッツポーズを決め喜ぶ洸。

「危ない」

誰が横から飛びつき洸は、
またも泥の中に転がった。

いままで洸が立っていた
場所には、新たな妖魔がいた。
逃げた獲物を探していた妖魔が
、泥の中に立ちすくむ
洸を見つけ狙いを定め
ジャンプする。

「洸くん…こっちだ」

再び声の主に抱えられ
妖魔の攻撃をかわした。

声の主は松ガ原まで
妖魔を追いかけて
きた榊だった。

新たな妖魔は封気師達
の包囲と張り巡らされた
結界に追い込まれた
ものだった。

父と見知らぬ封気師達も
妖魔を囲い攻撃をかけて
いるが、強靭なジャンプ
力と早い動きに苦戦していた。
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