くびったけ


「…………ん」


鐘の音で意識が私の中に戻される。



……授業終わった?


私はゆっくり体を起こした。


「あ、やっと起きた。」

やんわりとした声がまだぽやぽやした頭に響く。

「……誰?」

私の周りには誰もいない。


「もう最終下校のチャイムだよ。」

「え、嘘!」


よく考えてみればもう空は夕焼けを少し通り過ぎていて

カーディガンだけだと少し寒い。


「これ貸してあげるから、暗くなる前に帰りな?」


丁度私の手の上に男物のブレザーが乗ってきた。

「え、あ、ありがとうございます。」


私は不思議な気持ちを抱えたまま屋上を後にした




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