魔女の報酬
(1)魔女メディア
「カエルの目玉。ミミズの干物。コウモリの生き血」
唄うようにメディアは言いながら、次々にそのグロテスクな実物を、得体の知れない泥色の液体がぐらぐらと煮えたぎる鍋の中に投げ込んでいった。
「そして最後の仕上げ、夜中に咲いた薔薇の花びら」
慎重な手つきで、そっと花びらを舞わせるようにして鍋の中に落としこむ。
「マウラーの世界一の魔神よ。出でよ、出でて我が望みを聞きたまえ」
そして……。
ドッカン!
鍋はいともあっけなく大爆発を起こした。異様な液体をそこらじゅうにまき散らす。
もちろん、メディアも例外ではない。頭から浴びてしまい、鼻からも入って咳き込む。
「ケホケホ、何よ、マウラーのひねくれ魔神。まったくどーしょーもない……」
不意に彼女は言葉を途切らせた。
戸口の方から笑い声があがったのだった。最初は遠慮がちなくぐもった笑い声も最後には大爆笑に変わった。
メディアがいぶかしげな視線を戸口に向けると、そこで身体を二つに折って笑い転げている若い男の姿を発見した。青銀の長い髪をまとめて編んだ先が左肩に下がっている。その端が、彼が笑うと同時に小刻みに揺れ煌めいていた。
唄うようにメディアは言いながら、次々にそのグロテスクな実物を、得体の知れない泥色の液体がぐらぐらと煮えたぎる鍋の中に投げ込んでいった。
「そして最後の仕上げ、夜中に咲いた薔薇の花びら」
慎重な手つきで、そっと花びらを舞わせるようにして鍋の中に落としこむ。
「マウラーの世界一の魔神よ。出でよ、出でて我が望みを聞きたまえ」
そして……。
ドッカン!
鍋はいともあっけなく大爆発を起こした。異様な液体をそこらじゅうにまき散らす。
もちろん、メディアも例外ではない。頭から浴びてしまい、鼻からも入って咳き込む。
「ケホケホ、何よ、マウラーのひねくれ魔神。まったくどーしょーもない……」
不意に彼女は言葉を途切らせた。
戸口の方から笑い声があがったのだった。最初は遠慮がちなくぐもった笑い声も最後には大爆笑に変わった。
メディアがいぶかしげな視線を戸口に向けると、そこで身体を二つに折って笑い転げている若い男の姿を発見した。青銀の長い髪をまとめて編んだ先が左肩に下がっている。その端が、彼が笑うと同時に小刻みに揺れ煌めいていた。
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