魔女の報酬
(6)甘い報酬
「メディア、メディア」
彼方から呼びかけてくる声が煩わしい。
やわらかな薄闇が包むここは、温かでひどく心地よい。意識も体も薄く引き伸ばされていく。このまま溶けこんでいってしまいたかった。
いや、呼ばないで。ここにいる。
「メディア」
声は執拗に続き、眠りの淵から彼女を追い立てる。
うるさいわね。
思わず目を開けたメディアの前には、ロランツ王子の端麗な顔のどアップがあった。
(うわっ!)
焦って反射的に飛び起きようとしたが、肩を押さえこまれ身動きがとれない。
「いけない、メディア。そんなに急に起き上がっては。君は一昼夜というもの意識がなかったんだ」
なだめるように言うロランツの顔は、蒼白で目の回りには隈が出来ていた。やつれて落ちくぼみ生気を失った青い瞳には、苦しげなほど悄然とした思いが渦巻いていた。
思わず胸をつかれて、メディアは鋭く問いを発した。
「怪我したの? 顔色が悪いじゃないの」
彼方から呼びかけてくる声が煩わしい。
やわらかな薄闇が包むここは、温かでひどく心地よい。意識も体も薄く引き伸ばされていく。このまま溶けこんでいってしまいたかった。
いや、呼ばないで。ここにいる。
「メディア」
声は執拗に続き、眠りの淵から彼女を追い立てる。
うるさいわね。
思わず目を開けたメディアの前には、ロランツ王子の端麗な顔のどアップがあった。
(うわっ!)
焦って反射的に飛び起きようとしたが、肩を押さえこまれ身動きがとれない。
「いけない、メディア。そんなに急に起き上がっては。君は一昼夜というもの意識がなかったんだ」
なだめるように言うロランツの顔は、蒼白で目の回りには隈が出来ていた。やつれて落ちくぼみ生気を失った青い瞳には、苦しげなほど悄然とした思いが渦巻いていた。
思わず胸をつかれて、メディアは鋭く問いを発した。
「怪我したの? 顔色が悪いじゃないの」