魔女の報酬
「君が……?」
彼はまじまじとメディアを見つめた。上向いた低い鼻にソバカス、気の強そうな印象を与えるつりあがった淡い緑の目。大きすぎる唇。ばさばさで勝手気ままに跳ねまわる燃えるような赤い髪。地味な黒いローブを着た小柄な彼女は、なんだか異様な液体でぐちょぐちょになっているのを別にすれば、何のへんてつもない女の子に見えた。
「魔女というのは、突き出して曲がった鼻を持つ、物凄い年寄りと相場が決まっているものだ」
「それじゃあ、相場が変わったのよ。それであなたは誰なの? 断りもなく魔女の棲み家に入って、のほほんと突っ立ってるのは?」
敵意剥き出しの口調であった。緑の瞳が意地悪そうな光を放つ。
「カエルにでも変えて欲しいの?」
「遠慮しておくよ」
彼は慌てて答えたが遅かった。メディアの手が怪しい動きを見せ出す。唇がわずかに動き、奇妙な音律を持つ呪文が紡ぎ出される。
「失せなさいっ!」
メディアの手の中に沸き上がった金色の光が、彼に向かって今にも投げ出されそうになった時だった。
「待ってくれ!」
彼の手の中で羊皮紙が翻った。炎と杖の組み合わさった紋章を見咎めたメディアは手を止めた。
「魔法院の紋章?」
彼はまじまじとメディアを見つめた。上向いた低い鼻にソバカス、気の強そうな印象を与えるつりあがった淡い緑の目。大きすぎる唇。ばさばさで勝手気ままに跳ねまわる燃えるような赤い髪。地味な黒いローブを着た小柄な彼女は、なんだか異様な液体でぐちょぐちょになっているのを別にすれば、何のへんてつもない女の子に見えた。
「魔女というのは、突き出して曲がった鼻を持つ、物凄い年寄りと相場が決まっているものだ」
「それじゃあ、相場が変わったのよ。それであなたは誰なの? 断りもなく魔女の棲み家に入って、のほほんと突っ立ってるのは?」
敵意剥き出しの口調であった。緑の瞳が意地悪そうな光を放つ。
「カエルにでも変えて欲しいの?」
「遠慮しておくよ」
彼は慌てて答えたが遅かった。メディアの手が怪しい動きを見せ出す。唇がわずかに動き、奇妙な音律を持つ呪文が紡ぎ出される。
「失せなさいっ!」
メディアの手の中に沸き上がった金色の光が、彼に向かって今にも投げ出されそうになった時だった。
「待ってくれ!」
彼の手の中で羊皮紙が翻った。炎と杖の組み合わさった紋章を見咎めたメディアは手を止めた。
「魔法院の紋章?」