魔女の報酬
「報酬?」

「とぼけないでよ。自分の都合のいいときだけ利用しようとしたって、そうは問屋が卸さないんだから。この大魔女メディア様の力を借りたいのなら、それなりの報酬を用意したんでしょうね」

「感謝を。すべてのウィルランド人よりの」

「バカにしているの? それともバカなの? そんなもの腹の足しにもなりやしないじゃない」

「さすがに手厳しいな」

 彼はどことなくこのやり取りを楽しんでいる節があった。

「それなら、もちろん成功の暁には、貴女の望みのままに」

「望みのままに……?」

 魔女は意地の悪い笑いを浮かべた。

「それなら、こういうのはどう? あなたのお后の座を私にくれるというのは? 悪い条件じゃないでしょう?」

 王子は一瞬何とも形容し難い複雑な表情を浮かべた。

 それは十分にメディアを喜ばす。
 こんな気に食わない王子の言うことなどだれが聞いてやるものか、とっとと尻尾をまいて逃げかえればいいのだ。

< 6 / 21 >

この作品をシェア

pagetop