芸大生恋物語
ぼけっと半分寝たままの頭で考えつつみのりを顔を見ているオレ。

ヨダレとか寝ぐせとか口臭とか大丈夫だろうなあ。

などと思考がそれつつもまだみのりの顔を凝視しているとあることに気づく。

そして眠気が吹き飛び聡明になるオレの頭脳。

謎はすべて解けた!真実はいつも一つ!じっちゃんの名にかけて!ん~ふっふっふ。古畑ってこんなカンジだよな。



「おまえ、最近昼飯食ってねえだろ」


みのりの顔に浮かぶ僅かな動揺の色を二年における付き合いから感じ取り、さらに畳み掛ける。


「んでもって学校いってもほとんど教室から出てねえだろ」


みのりは明らかに動揺していた。自分の推測の正しさを確信する。


「また一人で制作にのめり込みまくって寝食忘れてハッスルしまくったんだろ。んで周りに引かれて、それに気づいて怖気付いて逃げてきたんだ。正解?」


みのりは肩を落としベットの脇に座り込んだ。気分は名探偵だ。


「せーかい…」


蚊の屁のような無気力感煽れる声だった。


アホめ。と胸の内で呟く。

みのりはこういう女だった。

一つのことに集中すると、とことんそれしか目に入らず全てを投げ打って没頭する。

そして事が終わると冷静になり、自分の奇行を思い出して凹む。

オレがいたならテキトーにいじって殴られてネタになって終わっていたのに、一人で事態に直面してパニックに陥ったようだ。

そして一直線にオレん家にかけて来たと。
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