芸大生恋物語
「アホめ」


今度は口に出して言った。


みのりは目を見開く。

傷ついているのか、憤っているのか、またはそれ以外か両方か。

まあどれでもいいけどとりあえずこれだけは行っておかなければいかん。


「おまえたしかに死ぬほど友達少ねえけどよお、曲がりなりにも2年一緒のクラスだったやつらが今更おまえの奇行の一つ二つで引くかよ」


みのりは言い返す。


「でも、みんなの目ぇ白かったんやもん」
「そんなもん見間違いだ。よしんば本当だったとしても、おまえが見たときたまたまみんなが白目むいてただけだ」
「いや、目ぇ白いゆうんは比喩やし…」
「うっせーなもうめんどくせえ。学校一緒に行ってやるからピーヒャラ言ってんじゃねえ」
「ほんまに!」
「おう学校でもどこでも行ったらあ!」


寝起きで変なギアがかかったオレは、よくわからんテンションでそのまま学校までの道を突っ走ってしまい、パジャマを着たままであることに途中で気づき、すごすごと家に帰った。

ちなみにみのりはまだオレの家にいた。

やはり寝不足だったようで寝ていた。オレのベットで。

今度メシを奢らせることを決意しつつ、みのりをベットの奥に押し込んで隣で寝た。

見た夢は鶏南蛮だった。
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