オコサマフレンチ
「...うーそっ!冗談に決まってるじゃない」
私がへらり、と馬鹿みたいに笑えばさ。
きっとまた、葉ちゃんは安心したように微笑んで私の頭を撫でてくれるの。
そうやってね。
さっきのあたしの〝スキ〟は何も聞かなかったことにするんでしょう?
「今日は、帰るね」
「し...「バイバイ!」
聞きたくない。
――聞きたくないよ。
そんな慰めるような私を傷つける言い訳なんか。
...曖昧な言葉なんて、優しさじゃない。
その方が深く棘は刺さるんだよ?
バタバタと玄関まで急ぐ。早く、――早く。ここから去りたい。