*Heart drop game* ―ハート落としゲーム―
「今日からクラスの一員となる、如月 英汰くんだ。みんな仲良くな。じゃあ如月、あいさつ」
「…如月 英汰です。…よろしく」

…終わりっ!?
あまりにも短いのでビックリしてしまった。
無口なのかな…。
クール系男子??

転校してきた英汰くんは、その後は一言も喋らず、そのままの無表情で席に着いた。
そして、片手で頬杖をつき、眠たそうな表情で先生の話を聞いていた。
なんだか猫みたい。

「ねーねー!英汰くんだっけ?どこから転校してきたのっ?なんでここに来たの?」

アタシはホームルームが終わると、さっそく英汰くんに話しかけた。
しかし、英汰くんはやっぱり無表情のまま、「別に」というだけだった。

「おー!?次のターゲットはコイツかあー!?」
「麗那に落とせない男なんていねーよ!」
「転校生が来たから、学校で麗那のこと好きじゃねーヤツなんて、コイツだけだろーな」
「麗那がんばー!」

クラスの男子がアタシを茶化す。

「アンタらうるさーい!」
「はあーい」
「英汰くん気にしないでねぇー」

ニッコリと満面の笑顔を向けるが、反応は返ってこない。
こんなになびかない男は初めてで、アタシの負けず嫌いを刺激させた。
本当!コイツはマジで落とす!
心に決めた瞬間だった。
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