*Heart drop game* ―ハート落としゲーム―
口に入った舌を追い出そうと口を閉じる。
すると、口の中に血の味が広がった。
英汰くん…いや、英汰はやっと口を離す。

「痛ぇーじゃねーかよ」

そういって口を袖で拭う。

「なにすんの!?最低!」
「はあ?お前が俺に近づいて来たんだろーが」

たしかにそうかも知れないけど…!
こんな…いきなりキスなんてこと…ありえないッ!

「大体、『お前が俺に落とされる』ってどーいう意味よ!バッカじゃない!?」
「どういう意味って、そのままの意味だよ。バカはそっち、頭悪いね」

アタシの体中に怒りが走る。
思いっきり拳を握る。

「だれがアンタなんかに落とされるか!アンタこそ落としてやる!」
「面白い。じゃあゲームしよーぜ」
「…ゲーム…?」
「先に落ちた方が負けだからな。負けたほうは勝った方に5万払う」
「5万…!?」

5万なんてお金、持ってない…。
でも、自信有る。
こんなヤツのこと好きになるわけない!
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