君がいてくれるなら


「立野さん…だよね?」


私の前まで来た制服姿の先輩は立止って、私に聞く。


「あっ…あの突然すみません。
えっと……。」


緊張の余り言葉が出てこない。

暫く沈黙が続いて、私は何か言わなきゃって焦るけど

やっぱり言葉が出ない。


私が内心アタフタしていると、先輩はふっと笑って


「今日も…さむいな。」


そう話かけてくれた。


「…そ、そうですね。」


―って私!
寒い中呼び出して何ただつっ立ってるんだろう。

あぁもう!

ちゃんと言わなきゃ…!


私は手にグッと力を込める。
そしてゆっくりチョコレートの入った紙袋を、先輩に向って差し出した。




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