君がいてくれるなら
日が傾き始めた、ちょっと遅めの夏の夕暮れ
体育館から外に出た私達を包む風が、昼間より幾分か涼しく感じた。
「はぁ~今日もキツかったぁ!
帰りコンビニでアイス食べたいねぇ。」
「うん……。」
クラスも部活も同じで大の仲良しの なぉ こと木口 奈緒(キグチ ナオ)の、練習から解き放たれ出た声に答えようとした時
2階にある体育館出口の階段の手摺ごしに、昼間見掛けたあの先輩の姿を見つけた。
グラウンドから引き上げて来るサッカー部員達
青い練習着に身を包んで、昼間見たあの笑顔でチームメイトと笑い合う先輩
私は思わず立止って、先輩の姿を目で追っていた。