ワタシ
「~い名取!!聞いてんのか?!」
先生の呼びかけで考え事をしていたワタシはハッとする。
「あ、ごめんね先生。何???」
先生が大きくため息をつき、ワタシは目をぱちくりさせる。
「やっぱり上の空だったか。珍しいなぁ。」
《先生のせいじゃん。》
ふてくされるワタシ。
ホントは自分が悪いのに…先生はホントのことを言っただけなのに…。
ワタシ最低―
「ところで名取、チャイム鳴り終わるぞ。」
あっさりと放たれたその言葉はかなり痛いものだった。
「え゛ッ!!!もぉ、そんなにあっさりと言わないでよ!でも、とにかくありがとぉ!」
「これからは遅刻すんなよ~!」
先生が言った頃には、ワタシはもう校舎の角を回りきっていた。