隠れ鬼ごっこ
雅「文太………」


雅明が名前を呼ぶと、文太はハッとして口をつぐんだ。


昴「なぁ、文太。頼むからさ…1人で行くなんて言わないでくれよ」


雅「そうだよっ。僕は…嫌だよ」


拓「そうそう。俺なんてもっと夢見悪いじゃん」


3人が説得する。


文「……うん。分かってる。皆が言いたい事は……」

雅「だったら…!」


文「でも、駄目だ。ごめん。さっきの嘘になる。俺……やっぱ許せないわ。自分が」


あぁ、やっぱりか……。


俺は文太の言葉にそう思った。


怜「やっぱりか……」


文「うん………」


怜「でも、悪いが…行かせねぇぞ」


雅「僕も行かせないよ」


昴「もちろん、俺等も。な?拓海」


拓「なっ、お前、俺のセリフとんなよ!」


俺等は文太を見た。


文太の顔には複雑そうな表情。


文「……はぁ。参ったなぁ…。折角言ったのにさ…。お前等にはお手上げだよ」

文太は苦笑いをしながら言った。


良かった。


だが、その考えは間違いだった。


文「……ありがとな。そして…ゴメン」


怜「えっ?」


次の瞬間、文太は走り出した。
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