隠れ鬼ごっこ
怜「…くそっ!」


拓「あんにゃろう……かっこつけやがって…!」


ハァ、ハァと手を膝につけながら拓海は悪態をついた。


雅「ハァ、ハァ…ケホッ」


昴「ハァ…どうするよ?」

俺は昴の問いに少し考えてから口を開いた。


怜「…俺達も分かれよう」

俺の言葉に3人は目を丸くさせた。


拓「本気かよ?」


怜「あぁ。さっきも言ったがこの人数だと目立つし、何より…このまま俺達が4人で居たら文太が1人で行ってくれた意味がなくなる」


「……」


初め3人は黙っていたが、その内「はぁ…ったく。本当お前には負けるよ」と昴がため息をついた。


雅「そうだよね…。僕は怜の意見に従うよ」


雅明もニコッと笑いながら言った。


昴「分け方は文太が言った通りにするのか?」


怜「あぁ。その予定だ。俺等まで1人になったら意味ないしな」


そこまで言って俺達は拓海を見た。


拓「な、なんだよ」


雅「拓海は…どう?のって…くれるよね?」


雅明がしゅんとなりながら言った。


拓「うっ…いや、その…まっ、まぁ、雅明が言うなら――」


昴「いいから、のれよ」


拓海の言葉に重ねるように昴が言った。


拓「あぁ!?昴、てめっ…!最近生意気だぞ!つーか、人が話してる時に被せんじゃねーよ!」


昴「早くしてくれないと鬼が来るんですけど?」


拓「くぅ…!…わぁーたよ!のりゃあ良いんだろ!?のりゃあ!ったく…あいつ(文太)の思惑通りになるのは癪だがのってやるよ!」


「ふんっ!」とそっぽを向く拓海。


雅「拓海…!」


怜「拓海…ありがとな」


俺はそう言った。
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