隠れ鬼ごっこ

「昴が…？何があったんだよ!?」

「怜…お前が言ってた通りだよっ…！ハァ…人影見付けて文太かと思って追いかけたんだ…。そしたら、女の子2人が居て、文太の場所聞いたら教えてくれて行ったら鬼が居たんだ…！ハァ…それで……昴が…俺を守って……！」

その先は聞かなくとも安易に予想できた。

やっぱり、ハメてきやがったか…！

くそっ…！

電話の先からは激しい息遣いと、泣いているだろう嗚咽が聞こえる。

「……拓海、今何処に居た？――」

そう聞いた時だった。

「……許せねぇ」

「えっ……？」

拓海の押し殺した様な声が耳元で聞こえ、聞き返す。
今、なんて…？

「あいつら絶対、許せねぇ…！絶対に…絶対に復讐してやるっ！」

憎しみのこもった声で、拓海は恐ろしいことを言った。

「何、言ってんだよ、拓海！それ、本気で言ってんのかよ!?」

「あぁ、本気だよ！俺達が何したっていうんだ…!?なんで、そんなくだらないことで昴が死ななきゃなんねーんだよ！オカシイだろ！」

怒りで感情を押さえられないのか拓海は声を荒げた。
「とにかく、落ち着けよ、拓海！一旦、合流して……」

「落ち着けだって？怜…お前はなんとも思わないのかよ!?」

「!?違う！拓海、俺は…」

「じゃあ、何が落ち着けだよ！」

「俺はこれ以上、仲間を失いたくないんだよっ！だから、拓海…頼むからそんなことを言わないでくれ」

俺の言葉に暫く沈黙が続いたが、やがて拓海が口を開いた。

「……ダメだ、怜…。どうしても…許せない」

「拓海っ、お前…「あいつらに復讐する。……ゴメン、怜」

俺の言葉にかぶせるようにして言った後、ﾌﾞﾂﾝと電話が切れた。

ﾂｰﾂｰﾂｰﾂｰ…

「拓海…!?おい、拓海!?」
しかし、耳元から聞こえてくるのはﾂｰﾂｰと言う機械音だけ。

「……っ」

俺は唖然と立ち尽くすことしかできなかった。

「怜…？」

雅明の心配そうな声が聞こえたのと同時に……

「そう言う事ダヨッ★」

「!?」

場違いであろう楽しそうなピエロの声が耳に響いた。