隠れ鬼ごっこ
―数十分前 拓海 Side―


「ハァッ…ハッ…」


俺は走った。あの女達を探すため。

あの女達に復讐できたら…死んだって良いんだ。


俺はふと、携帯を見た。そこにはいくつかの着信とメールがはいっていた。


「………」


怜……。


俺は俺を止めてくれた友人の顔を思い出す。


分かってる…つもりだぜ?

こんなこと…すべきじゃないことくらい。


そりゃ、俺は馬鹿だけど…さ。それで気持ちが晴れるなんて思ってない。

そんな軽いものでもないし、それと昴の件は別なことくらい分かってるさ。


でも…さ。


あの子達をそのままにしてたら…きっと文太が危ないんだよ。


あの馬鹿はお人好しだから。


だから……


昴にも頼まれたし、文太やお前らを守れたらそれだけで良いんだよ。

雅明にも昴にも文太にも怜にも…悪いことたくさんしたから、俺にはこれでしか償うことは出来ないんだ。

後味悪くなるけど、許してくれよな。


きっと俺は死ぬんだろうけど………俺は今までの分も頑張りたいんだよ。

ワガママで、自己中な俺の友達で居てくれたお前らに…俺の命預けるのもどうかと思うけどさ。


でも…頼む。


最後くらい……かっこつけさせてくれ。


最後くらい…誰かの為に役にたたせてくれ。


本当にワガママでゴメンな。


俺は………。


「ハァッ…ハッ…。…!」

俺は前方に誰かが居るのを見付けた。

あの女達だった。
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