隠れ鬼ごっこ
(いた…!)

相手を見てみると、辺りを伺っているようだ。

俺は深呼吸をしながら、メールを打つ。

大した文じゃない。

すぐに打てる。

俺はその大した文じゃない文章を打って、送信を押した。

きっと、これが携帯を使う最後の機会……。

しかし、これだけはしないで済ますわけにはいかないから。

俺は携帯をポケットに入れた後…また深呼吸をして女達のところに行った。

「…おい」

「!」

女達が俺に気付いた。

「さっきの………」

「よくも…よくも囮にしてくれたな!」

俺の言葉を聞くと…美咲と呼ばれていた女が卑しい笑みを浮かべた。

「騙される方が悪いのよ。…あら、お友達は殺されちゃったのかしら?お人好しさん」

「なん…だと…!?」

俺は女が言った言葉が信じられなくて聞き返す。

だが、次の言葉は更に信じられない言葉だった。

「もう一度言われなければ分からないかしら?…騙される馬鹿が悪いのよ。アンタも…アンタの死んだ友達も…能無しよね。本当馬鹿ばっかで助かるわ」

「アハハ」と笑う女に怒りが倍増した。


「てめえ!!ふざけんなっ!昴を…昴を返せ!」


「うるさいわね。見つかったらどうするのよ。…まぁ、今度はアンタを囮にするだけだけどね。アンタも…アンタの馬鹿な友達と同じ所に行けば!?」

「…!それでも……それでもてめえ人間かよ!よっぽど、あの鬼より化物だぜ!狂ってる!」

俺は大声で怒鳴る。しかし、女は肩をすくめて笑うだけだ。

「…言ってれば?まぁ、いいわ。アンタも…鬼に殺されなさい!」

「この…!」

俺が殴りかかろうとした時だった。


――ゾクッ


「!!!」


背中にもの凄い殺気と寒気を感じた。
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