隠れ鬼ごっこ
恐る恐る後ろを振り返る。

そこにはあの鬼が居た。


そして次の瞬間……


――ザシュッ!

「グゥ…ッ!」

背中に強い衝撃を受け、思わず倒れた。

「ウッ…グッ…」

痛みに顔をしかめながらも、背中を見るとそこには3本の切傷があった。

鬼を見てみると、爪が猛禽類のように長くそこには俺の血がついていた。

傷は大したことはないが、深い為にすぐに起き上がれそうにない。

鬼はゆっくりと近付いてくる。

くそ……。結局…何もできないまま犬死にかよ……。
そう思っていた時だった。

「フフッ…さっさと殺されなさい!」

美咲がそう言った。…その瞬間だった。

――ギロッ


「!!」


拓海に一直線だった鬼が美咲と絵里の方を見た…否、睨んだ。

そして、方向転換をして2人に近付く。

「なっ…なんで…!」

「なんなのよ…!あっちに倒れてるのが居るでしょ!?」

しかし、鬼は近付くことを止めない。

「く…くそ…っ!あっちに行きなさいよ…っ!」

2人が後退りしながら、そう言ってた時だった。

――ガンッ!

「っ!」

ドサッ!と絵里が尻餅をついた。

「あっ、いや…!」

恐怖でか、腰が抜けたようで立てなくなっている。ただ、足をバタバタ動かしているだけ。

その様子を見た鬼が静かに口を吊り上げて笑った。その顔は恐怖しか感じられない。

「き…きゃああぁぁぁ!!」

絵里が叫んだ。そこで怜達が駆け付けて、今に至る。
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