隠れ鬼ごっこ
◇逃走
ーーー怜たち side
「ハァ ハァッ…!!」
「ちょっと…!待ってよ…怜…!」
「さ、怜さん…!待って…!」
手を引いている2人から声をかけられるが俺はそれを無視して走り続けていた。
昴の時はまだ遠く居たからなんとか耐えられた。
凄く辛かったが…それでも、耐えられた。
でも、今回は…違う。
目の前で友人が殺されるのを分かっていたのにも関わらず置いて逃げた。
見捨てたのだ。
走り過ぎて体が酸素を求め胸を苦しめる。足ももつれ始め、脳に止まれと命じ始めてきた。
それでも、俺は止まることはできなかった。
後ろの2人が俺よりも体力がないことは分かっていた。
だが、止まるなんてできなかった。
拓海が殺されるのを…目の当たりにすることなんてできない。
「怜…!お願い、止まって!拓海が…拓海が殺されちゃう……!!今戻れば…間に合うかもしれない…!」
雅明の声が遥か遠くから聞こえてきた。
確かに今戻れば拓海は助かるかもしれない。
でも…あの化け物に素手で勝てないことくらい分かっていた。
とんだチートキャラだ。
今戻ればここにいる全員は死ぬのは確実であった。
なんで、俺は…止めようとした時に武器の一つや二つ持ってこなかったのだろうか。
頼りなくとも箒でも持ってきていたのなら…もしかしたら拓海は死なずに済んだのではないだろうか。
今更思っても遅いが、俺は自分の行動の軽率さを恨まずにはいられなかった。
すると、ガガッというノイズとともにあの歌が流れてきた。
捕まえた…♪
捕まえた…♪
5人目を捕まえた…♪
捕まえた5人目は…♪
先に捕まった友人の仇をとるために…♪
他のプレーヤーに仕返ししようとして…♪
鬼に見つかり他のプレーヤーが捕まるのを見た後…♪
その場に駆けつけた友人等を助けるために…♪
自らを犠牲にして…♪
絶望と希望を抱きながら…♪
窓から落ちて潰れちゃった…♪
まるで車に轢かれた蛙みたい…♪
さぁ、次は誰かな…?♪
「ッ!!!!」
繰り返し流れるその歌に頭がおかしくなりそうだった。
始めて真里にあった時、真里がこの歌を聴いて叫んだのをぼんやりと思い出す。
その意味がリアルに分かった。
吐き気がひどい。
このまま止まってしまいたい。
でも、それは亡き友人との約束を破る事になる。
俺がこいつらと文太を守らないと……。
ただそれだけで俺は走り続けていた。
でも、だからなんだというのだ。
友人1人見殺しにしといて…守るなんて馬鹿みたいだ。
歌を聴いた瞬間、拓海の死は確定したものになってしまった。
それを聴いた瞬間から視界は潤んでよく見えない。
「クソクソクソクソクソ…!!!!」
堪えきれず溢れ出た涙が頰を伝い次々と流れ落ちていく。
その雫が雅明の顔に当たり、弾けた。
「…!怜…!」
「ごめん…ごめんな、拓海…ごめん、ごめん、ごめん、ごめんごめんごめん」
無意識の中で俺の口から出ていた言葉はごめんだった。
肺が酸素を求めている。
頭が働かなくなってきたところで俺の足はついに限界を迎えもつれて転んだ。
「キャッ…!だ、いじょうぶ…ハァ…ですか?…ハァ…さと、しさん…」
息が切れてうまく話せていない真里の言葉を聞いて俺は相当無理させてたんだなと何処か遠くで思っていた。
でも、正直俺はそれに構えるほどの余裕がなかった。
「…怜…」
息を切らせながら俺の名前を呼ぶもう1人の友人。
「ハァ ハァッ…!!」
「ちょっと…!待ってよ…怜…!」
「さ、怜さん…!待って…!」
手を引いている2人から声をかけられるが俺はそれを無視して走り続けていた。
昴の時はまだ遠く居たからなんとか耐えられた。
凄く辛かったが…それでも、耐えられた。
でも、今回は…違う。
目の前で友人が殺されるのを分かっていたのにも関わらず置いて逃げた。
見捨てたのだ。
走り過ぎて体が酸素を求め胸を苦しめる。足ももつれ始め、脳に止まれと命じ始めてきた。
それでも、俺は止まることはできなかった。
後ろの2人が俺よりも体力がないことは分かっていた。
だが、止まるなんてできなかった。
拓海が殺されるのを…目の当たりにすることなんてできない。
「怜…!お願い、止まって!拓海が…拓海が殺されちゃう……!!今戻れば…間に合うかもしれない…!」
雅明の声が遥か遠くから聞こえてきた。
確かに今戻れば拓海は助かるかもしれない。
でも…あの化け物に素手で勝てないことくらい分かっていた。
とんだチートキャラだ。
今戻ればここにいる全員は死ぬのは確実であった。
なんで、俺は…止めようとした時に武器の一つや二つ持ってこなかったのだろうか。
頼りなくとも箒でも持ってきていたのなら…もしかしたら拓海は死なずに済んだのではないだろうか。
今更思っても遅いが、俺は自分の行動の軽率さを恨まずにはいられなかった。
すると、ガガッというノイズとともにあの歌が流れてきた。
捕まえた…♪
捕まえた…♪
5人目を捕まえた…♪
捕まえた5人目は…♪
先に捕まった友人の仇をとるために…♪
他のプレーヤーに仕返ししようとして…♪
鬼に見つかり他のプレーヤーが捕まるのを見た後…♪
その場に駆けつけた友人等を助けるために…♪
自らを犠牲にして…♪
絶望と希望を抱きながら…♪
窓から落ちて潰れちゃった…♪
まるで車に轢かれた蛙みたい…♪
さぁ、次は誰かな…?♪
「ッ!!!!」
繰り返し流れるその歌に頭がおかしくなりそうだった。
始めて真里にあった時、真里がこの歌を聴いて叫んだのをぼんやりと思い出す。
その意味がリアルに分かった。
吐き気がひどい。
このまま止まってしまいたい。
でも、それは亡き友人との約束を破る事になる。
俺がこいつらと文太を守らないと……。
ただそれだけで俺は走り続けていた。
でも、だからなんだというのだ。
友人1人見殺しにしといて…守るなんて馬鹿みたいだ。
歌を聴いた瞬間、拓海の死は確定したものになってしまった。
それを聴いた瞬間から視界は潤んでよく見えない。
「クソクソクソクソクソ…!!!!」
堪えきれず溢れ出た涙が頰を伝い次々と流れ落ちていく。
その雫が雅明の顔に当たり、弾けた。
「…!怜…!」
「ごめん…ごめんな、拓海…ごめん、ごめん、ごめん、ごめんごめんごめん」
無意識の中で俺の口から出ていた言葉はごめんだった。
肺が酸素を求めている。
頭が働かなくなってきたところで俺の足はついに限界を迎えもつれて転んだ。
「キャッ…!だ、いじょうぶ…ハァ…ですか?…ハァ…さと、しさん…」
息が切れてうまく話せていない真里の言葉を聞いて俺は相当無理させてたんだなと何処か遠くで思っていた。
でも、正直俺はそれに構えるほどの余裕がなかった。
「…怜…」
息を切らせながら俺の名前を呼ぶもう1人の友人。