隠れ鬼ごっこ
「あーやっぱ遠藤じゃん!何?お前中高だったのか。存在感ねぇから知らなかったよ」
馴れ馴れしく肩を組んでくるその人は齋藤くん。
齋藤くんを中心に僕はいじめられていた。
その周りにいるのも齋藤くんとずっと一緒に居た人たちだった。
確か近くの高校じゃなかったはずだったけど…。
この辺は娯楽施設が多い駅の近くだから遊びに来たのだろう。
何にせよ最悪なことには変わりない。
これじゃあ…。
当時の恐怖が襲ってきて僕は情けないけどカタカタと震えてしまっていた。
「相変わらず小動物みてぇな奴だなぁ?……ムカつく」
「!」
隣の遠藤くんに聞こえないような小さく低い声で言われて本当に体が硬直してしまう。
「…アンタら誰?遠藤の友達?…いや、どう見てもお友達ではないか」
遠藤くんの問いに齋藤くんは「同じ中学校の同級生だよ」と意地悪く笑いながら言った。
「なるほど。お前こいつに言わないで上手く溶け込んだなぁ?まぁこんな遠くの高校選んでる時点で知らない奴しかいねぇところ選んだんだろうけど」
…やめて。
肩から手を離した齋藤くんは相変わらず意地悪く笑いながら僕を覗き込む。
「アンタも友達選んだ方がいいよー?何せこいつは…」
…やめてよ。嫌だよ…!
こういう時、大声でやめてって言うのが理想なのだろうけど…。
所詮人間も動物。
一度恐怖を味わらされた相手には逆らえないようになっている。
そして僕が固まっているとあっさりと言われたくない言葉を言われてしまった。
「普通じゃない!霊感があるんだかなんだかしらねぇけどな!クラスメートを呪ったりする奴なんだよ!」
そんなことしてない…!
それに霊感があると言ったって…見えてるわけじゃない。
第六感というのが強いだけだ…。
そう思うのに口から言葉は出ずに口の中はカラカラに乾いていた。
そしてなによりも…友達になれそうだった遠藤くんの顔が見られない。
「…へぇ。そーなんだ」
「なんだよつまんねぇ奴だな。まぁいいや。おい遠藤。面貸せよ?新しいところではまだスクールカースト競走中だから我慢してたんだよ」
ゲラゲラと笑う齋藤くんたちに僕は無理やり腕を引っ張られた。
「別にいいだろ?」
齋藤くんが遠藤くんに聞いたのを見て僕はチラリと遠藤くんを見た。
相変わらずだるそうな表情をしているため、彼の真意が分からない。
「…別にいいぜ」
ーーズキッ
その言葉に僕は俯いた。
それはそうだ。
だって過去のこと言ってないし…なにより気味悪いと思われたって仕方ない。
それに今日話したばかりの僕を助けるなんて道理は彼にはない。
「なんだ話がわかる奴じゃん。じゃあ遠藤行こうか?」
ぐいっと乱暴に引っ張られて僕は成すすべもないまま連れて行かれる。
…やっぱり無理だったんだ。
折角友達になれそうだって思ったのにな…。
そのまま齋藤くんに連れていかれかけた時だった。
「おい」
「あ?」
齋藤くんが後ろを振り返った時だった。
ーーバキッ!!
「うがっ!?」
齋藤くんが宙に浮いて飛んで行った。
比喩ではない。
本当に飛んで行ったのだ。
ガシャン!と缶やペットボトルを捨てる黄色い箱にぶつかっている彼を見て初めて齋藤くんが殴られたのが分かった。
後ろを振り返ると遠藤くんは拳を握りしめて思い切り殴ったのか片足を上げていた。
馴れ馴れしく肩を組んでくるその人は齋藤くん。
齋藤くんを中心に僕はいじめられていた。
その周りにいるのも齋藤くんとずっと一緒に居た人たちだった。
確か近くの高校じゃなかったはずだったけど…。
この辺は娯楽施設が多い駅の近くだから遊びに来たのだろう。
何にせよ最悪なことには変わりない。
これじゃあ…。
当時の恐怖が襲ってきて僕は情けないけどカタカタと震えてしまっていた。
「相変わらず小動物みてぇな奴だなぁ?……ムカつく」
「!」
隣の遠藤くんに聞こえないような小さく低い声で言われて本当に体が硬直してしまう。
「…アンタら誰?遠藤の友達?…いや、どう見てもお友達ではないか」
遠藤くんの問いに齋藤くんは「同じ中学校の同級生だよ」と意地悪く笑いながら言った。
「なるほど。お前こいつに言わないで上手く溶け込んだなぁ?まぁこんな遠くの高校選んでる時点で知らない奴しかいねぇところ選んだんだろうけど」
…やめて。
肩から手を離した齋藤くんは相変わらず意地悪く笑いながら僕を覗き込む。
「アンタも友達選んだ方がいいよー?何せこいつは…」
…やめてよ。嫌だよ…!
こういう時、大声でやめてって言うのが理想なのだろうけど…。
所詮人間も動物。
一度恐怖を味わらされた相手には逆らえないようになっている。
そして僕が固まっているとあっさりと言われたくない言葉を言われてしまった。
「普通じゃない!霊感があるんだかなんだかしらねぇけどな!クラスメートを呪ったりする奴なんだよ!」
そんなことしてない…!
それに霊感があると言ったって…見えてるわけじゃない。
第六感というのが強いだけだ…。
そう思うのに口から言葉は出ずに口の中はカラカラに乾いていた。
そしてなによりも…友達になれそうだった遠藤くんの顔が見られない。
「…へぇ。そーなんだ」
「なんだよつまんねぇ奴だな。まぁいいや。おい遠藤。面貸せよ?新しいところではまだスクールカースト競走中だから我慢してたんだよ」
ゲラゲラと笑う齋藤くんたちに僕は無理やり腕を引っ張られた。
「別にいいだろ?」
齋藤くんが遠藤くんに聞いたのを見て僕はチラリと遠藤くんを見た。
相変わらずだるそうな表情をしているため、彼の真意が分からない。
「…別にいいぜ」
ーーズキッ
その言葉に僕は俯いた。
それはそうだ。
だって過去のこと言ってないし…なにより気味悪いと思われたって仕方ない。
それに今日話したばかりの僕を助けるなんて道理は彼にはない。
「なんだ話がわかる奴じゃん。じゃあ遠藤行こうか?」
ぐいっと乱暴に引っ張られて僕は成すすべもないまま連れて行かれる。
…やっぱり無理だったんだ。
折角友達になれそうだって思ったのにな…。
そのまま齋藤くんに連れていかれかけた時だった。
「おい」
「あ?」
齋藤くんが後ろを振り返った時だった。
ーーバキッ!!
「うがっ!?」
齋藤くんが宙に浮いて飛んで行った。
比喩ではない。
本当に飛んで行ったのだ。
ガシャン!と缶やペットボトルを捨てる黄色い箱にぶつかっている彼を見て初めて齋藤くんが殴られたのが分かった。
後ろを振り返ると遠藤くんは拳を握りしめて思い切り殴ったのか片足を上げていた。