幼馴染みの初恋
辺りがおかしい事に気付く


何かが




何かが二人を見ている。
多くの目線が二人を見ていいる、ユイは白夜の服をギュッ…と強く掴む
「なんか…いるよ…」
ユイの声は震えていた、すると…
ワンッ…ワンッ…
野犬の吠える声が二人の身体の芯に響きわたる
「だ…大丈夫だ!俺がついてる…」
白夜も声が震えていた、白夜はこちらが何もしなければ大丈夫だとユイに無理した笑顔をする。
「うん…」
ユイはまた泣きそうになっていた、白夜は服を掴んでいるユイの手を優しく握る
野犬の目線は少しづつ多くなり二人との距離も短くなってきていた。
ユイが後ろを向くと2匹の野犬が近付いてくる、白夜に注意しようとした瞬間…
「しっ!喋るな!いいか、走れって言ったら走れよ!」
白夜はゴクッと息を飲み込みながらユイの手を強く握る、
ユイも白夜の手を強く握り返す
とても長い時間に感じた、白夜の走れと言う合図が何時間…何十年にも感じた…
ドクンッ…ドクンッ…
ユイの手から白夜の心臓の音が聞こえてくるような気がする…
「走れ!」
白夜はユイの手を握ったまま走る、それと同時に野犬も走り出す
二人の距離は前よりも早く縮まっていく
「白夜…はぁ…はぁ…待って…………」
ユイは白夜の足について行けずにコケてしまう。
バタッ…
野犬がユイに近付いてきた
白夜はまだ持っていた棒切れを目茶苦茶に振りながら野犬とユイの所に戻る。
ブンッ…ブンブンッ。
「うわあぁ!」
白夜は声を張り上げながら野犬の前に行き棒切れを野犬に突き付ける
「くるな!ユイは俺が守るんだ!」
白夜は泣きじゃくっていた それでも野犬は歩いてくる ゴンッ…ゴンゴンっ…

鈍い音がする。
白夜は目を開けると野犬に棒切れが当たっていた、野犬はビックリしたのかクゥ〜ン…と情けない声を出しながら山に戻る
白夜は腰が抜けたのかユイがコケた場所に倒れ込む。
「ふぅ〜。」
長い息を吐き切った後に白夜は笑い出す
「怖かったぁ〜!あははっ」
ユイもさっきまで泣いていたのに白夜が笑い出して安心したのかユイも白夜と一緒に笑い出す
< 28 / 60 >

この作品をシェア

pagetop