幼馴染みの初恋

｢そうそう…話しがズレたから元に戻すけど、日本に今の近況を報告するために一度だけ帰国するから、その時にアナタもこっちに来なさい。｣

まだ行くとも行ってないのに…勝手な母親だな。
｢俺が行く行かないは良いとして、いつくるんだよ。｣
香絵は電話の向こうで英語で会社の人と話しているようだ。
｢えーっとね…簡単に言えば日本の23日♪つまりクリスマスイヴだねー｣
ありえねー…そんな日に…そんな日に…海外行けだとぉ。
｢急に言われても…あと、二週間もねーぢゃんよ…｣
母親は慌ただしくなってきている。
｢忙しいから、またね！風邪はひかないようにね｣
疲れたぁ…
母親との電話でこんなに体力を使うなんて俺だけだろ。
白夜が電話を切ろうとしたら母親が最後にと言ってきた
｢ユイちゃんと頑張ってね♪｣
白夜は電話を無言で切る
ブチッ…
ツー…ツー…ツー…

｢あの子もまだまだ子供ね♪あんなに必死になっちゃって｣
香絵は電話の前でニヤニヤしながら会議室に入っていく。
｢あんのぉ〜クソババァ〜ぜってぇ殺す！｣
白夜は両手で頭をグシャグシャにする。

バタンッ…

そして大の字になって天井を見上げる。
｢くっそ…そんなのわかってんだよ。言われなくても｣
白夜は自然と眠りにつく。白夜もまた不思議な夢をみていた
そこは誰もいない暗闇…
足音がする。

コツ…コツ…コツ…

何かが白夜に近付いてくる。
コツ…コツ…コツンっ。

足音は白夜の前で止まる。よく見ると二つの影があるユイだ…一人はユイだった。そして二人目は志紀鮫だった…
二人は白夜を見つめた後に白夜に背を向けてまた闇へと歩きだす…
｢待てよ…ユイ…なぁ……俺だよ…わかんねぇのかよ…｣ユイは振り向きもせずに志紀鮫によりかかったまま闇に消えていく…
白夜は全身から力が抜ける。泣きたくても泣けない。もう声すら出ないようだった。
しばらくボーっとしていると、何かが聞こえてくる。｢フラれた男は何処にいる？｣｢ここにいるにゃん☆｣
｢どんな顔にゃん？｣
｢馬鹿な顔にゃん｣
そいつは猫だった…
どこかで見た事ある……
｢ハヤテだ！こいつハヤテに似てる｣