幼馴染みの初恋
「もしもし…」
電話の相手はユイだった…さっきと同じで暗い声をしている。
「今から丘に来て…」
それだけ言うと電話は切れる…
「なんだよ…アイツ…」
夜は寒いから厚着をして出掛ける…
母親とユイの親に挨拶をしてから急いで丘に向う

丘から見る景色は前より、ずっと…ずっと綺麗だった…
こんな状況なのに落ち着いている自分に少しビックリしている。
「白夜…」
呼ばれた方を見るとユイとハヤテがいる。
何故か俺は泣きそうになる…
「白夜…行きなよ…子供は親といるのが普通…私なら全然平気!」
ユイは無理して元気を出している…
「なんだよ…急に…俺は…」
シュー………ドンっ!

この懐かしい感覚わ?
目を開けるとユイが目に涙をいっぱい溜めている…
ついでに鼻水も垂らしまくり…
「バグヤのばがぁ〜…あんたなんか嫌いだなぁ〜」
ユイはクシャクシャの顔で俺に飛び付く、子供のようにヒクヒク泣いている
訳がわからない俺はハヤテに聞く
「お前まで…どーしたんだよっ」
ハヤテは夜景を見ながら一呼吸おいて喋る
「俺とユイちゃんでハクを追い出そうって、ユイちゃんがあの後電話してきたって訳…」
ユイは泣疲れたのか急に眠り出す…
「本当に子供だな…」
ハヤテは二人を見て笑う…「面白いよな…」
白夜はユイをおんぶしてハヤテの横に行く…
「ハヤテ…」
ハヤテは涙を流していたと思う…でも、それを確認しようとしても次の涙は流れなかった…
「ハク…誓えよ!必ず帰ってきて、ユイちゃを幸せにするって!それまでは俺がユイちゃん守るからさっ」
ハヤテは手グーにして俺の胸にトントン…と二回叩く…
「おうっ!」
白夜はハヤテの手を握り締める…
「そろそろ帰ろう…」
ハヤテと白夜は家に戻り始める
「明日…来るのか?」
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