君のとなりに誰が座る
水面
コンクリートを照りつける日差しは、この一週間のどれよりも強く痛い。
昼時ともなれば、活発な蝉がせわしなく鳴くので気持ちが鬱々としてしまう。
公園には涼しい風が通るが、この熱さに勝るものではない。
緑豊かな公園の中心に小さな噴水がある。
その中には小さな子ども達が、日の強さなど眼中にないとばかりに遊びはしゃぎ、周りには子どもの親が取り囲んで、各々の話に花を咲かせていた。
噴水の縁に座って、子どもたちを見ている女がいる。
白い長袖のシャツに黒のパンツを履いて、髪を後ろで1つにまとめている女は汗もかかず涼しい顔をしていた。
1人の女の子が彼女の元に近づく。
女が手を伸ばすとその子は女の手を握り、あったかい、と言って遊びに戻った。
「春美」
女はその声の主を探す。
小走りで駆け寄る男は、女に向かって手を振っていた。
それに応えるように女も手を振る。