彼と過ごした三年感
●血●
(応急処置みたいなの…)
ゎたしがゅぅを動かそぅとした時、女の人が叫んだ。
『動かしちゃダメ!』と。
はっきり言って、その女の人の顔も今では覚えていないの。
ただ、その人は救急車に乗り込むまで、ゎたしの側にずっと居てくれたんだ。
救急隊員の人がゅぅの親に電話するょぅに言ってきた。
ゎたしは携帯で電話する。
電話に出たのはゅぅの妹で、家族の様に仲良くしていたから、その明るい声に胸が痛かった。
『まだゅぅ帰ってなぃょ?』って。
(知ってる…)
『お母さんに変わってくれないかな?』
そしたらまた…
『ごめんね~ゅぅまだ帰ってないんょ?どうした~?』って。
『おばちゃん…ゅぅ…』ゎたしはこれ以上何も言ぇなかった。
その時、あの女の人がゎたしから携帯を取ってゅぅのおばちゃんに一部始終を説明してくれた。
ゎたしは、あの時、お礼の一つも言えなかった。
この事故を思い出す時いつもモザイクのかかった女の人が出てきて、感謝の気持ちでいっぱいになるんだよ。
明るい救急車の中、自分の制服のシャツにゅぅの血がついていた。
手にも。
ただ瞳孔が開いて息が荒いゅぅと、自分の手を繰り返し見ては『これは現実なんだ』っとぼんやり確信した。
(ゅぅが死ぬかもしれなぃ)
そんな孤独の中、揺れる救急車が病院に到着した。