ＨＥＲＯＩＮＥ【完】

★HEROINE★

待ち合わせは、
人であふれる新宿東口交番前。



誰よりも目立つ大きな体。

でも彼はまるでそれを隠すように身体を折り曲げ、
道路と歩道を仕切る銀色のポールに体重をかけている。


その姿は遠目にも妙に垢抜けていて、
なんだかお忍びの芸能人みたいだ。



・・・それはそうだよね。

彼はここに来る少し前に、
テレビ番組の収録を終えたばかり。


やけに可愛いパーカーのついた、
明るいグレイのロングニットコート。

だぼついたジーパンのベルトから垂れ下がった重そうな銀色のチェーンは、
お尻のポケットに入ったお財布につながっている。


『尻尾の代わりだよ。
ないと寂しいから♪』