HEROINE【完】
私はお別れの悲しさよりも悔しくて、
腹が立って、
泣きそうになっていた。
だってみんな、
スタジアムなら彼に夢中になってカメラを向けるじゃない?
小さい子どもを押しのけて、
彼にサインをねだるじゃない?
私の彼が一番かっこいいのに!!
「あ〜・・・!」
突然彼が小さく叫んだ。
ビクッと私は硬直する。
見上げたら、
さっきよりも困り果てた顔になっていた。
「ずっと考えてたんだけど、わかんない!
言ってくれないと、俺!
本当にごめん」