HEROINE【完】
頭のてっぺんが見えるくらい腰を折るから、
私はさらに驚いてしまった。
黙ってたのは、
ずっと考えてくれてたんだ・・・
「何怒ってるのか教えて?
このままじゃ、
移動中気になって眠れない・・・」
彼の生真面目さが、
妙に嬉しくて私は笑った。
「・・・誰も見ないから」
「何を?」
「あなたを」
彼は不思議そうにあたりを見渡した。
滑り込むように青い線の入った新幹線が、
ホームにやってきた。
野球選手たちが手を振り、
みんながざわついている。